ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 通常は濾過を行って雑味やにごりを取り除くのだが、無濾過はそれを行わないため自然に生成された成分がそのまま残っている。この独特な味わいは、日本酒好きにはたまらないだろう。

 自信を持っておすすめすると、ご主人も「へえ。なら試しにいただいてみようか」と言ってくれたので、私は嬉々として提供する用意を始めた。


 ──私がここで働き始めたのは十八歳の時。最初はアルバイトで入ったのだが、この仕事が好きなのと伯父の厚意もあり、短大を卒業した後そのまま就職した。

 二十歳になって日本酒にどっぷりハマると、もっと知識を極めたくなって唎酒師の資格を取得。

 自分の好きなものをぜひ伝えたいという気持ちも強くなり、いつの間にかお酒をプレゼンする習慣が身についていた。今ではそれを楽しみにやってくるお客様も多いので、ますます仕事にも精が出る。

 ランチタイムが終了する頃、お客様がいなくなったホールでテーブルを綺麗に拭き上げていると、最後のお客様となった先ほどのご夫婦がお会計をしにやってきた。レジに回って支払いをしている最中、ふたりが話しかけてくる。

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