ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
「こっちとしては、悪いと思ってるなら償う気持ちで俺たちと会ってほしいんだがな。病気がどうなるかもわからんし……。とにかく、依都には本当にかわいそうなことをした」

 花菱さんが悪いわけではないのに、懺悔するかのようにうなだれる姿を見て胸が痛む。自分の娘が孫に対して愛情を注げなかったというのは、彼にとってどれだけ心苦しいか。

 なによりつらいのは依都さんだろうが、母親にも同情する部分はある。考えるほどやりきれなくなるな。

「……それぞれがつらい思いをされたのですね。自分がいかに恵まれた人間なのかがわかります」
「いや、悪いね。本当にべらべらしゃべって、気遣わせちまって」
「とんでもない。聞かせてくれと言ったのはこちらですから」

 花菱さんは俺に力なく微笑みかけ、「よっこらしょ」と立ち上がる。写真立てを元に戻して切なげな表情をする彼を眺めながら、俺はしばし考えを巡らせていた。


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