ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~

 それからも少し依都さんについての話はしたが、結局酒米作りについてはいい返事をもらえずじまいだった。しかし、念のため社内では計画を進めておくことにする。

 波多野や他の部門長を集めてこの件を共有すると、会社的には問題ないので前向きに進めようと話がまとまった。

 やはり、後は花菱さんの気持ちだけだ。どうしたら彼をその気にさせられるだろうか。

 あれこれ思案していた時、会議に参加していたひとりの社員が、「市場調査でとある酒屋に行ったら面白い話を聞けましたよ」と言ってきた。

「しいじっていう割烹料理屋で働く女性スタッフが、料理にぴったりの日本酒を選んでくれるらしいんです。唎酒師の資格も持っているとか」
「しいじ……」

 それは確か花菱さんの孫、依都さんが働く店じゃなかったか? 彼女の亡くなった父親の兄夫妻が経営しているのだとか。

 スタッフはごく少人数だと言っていたし、もしやその女性が依都さん……?

 可能性は高いと感じた瞬間、俺はあることをひらめいた。社長室に戻るとさっそく花菱さんに電話をかけ、不思議がる彼にまず確認をする。

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