ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
《そっ、そりゃ~ズルいだろ! 人が悪いよ、あんた……やっぱ親父さんは組長なんか!?》
「違います」
《そんなのうまくいくわけないだろう! 俺でさえ説得できねぇってのに……》
「第三者だからこそ冷静に間に入れるということもあるかと」

 心底困って動揺しているのがわかる彼に、俺は落ち着いて真面目に返す。

 こんな面倒なことをしようとするのは、ほぼほぼ仕事のため。しかし、花菱さんたちにとってもプラスになるなら、やってみるのは決して悪いことではないはずだ。

「親が子を、子が親を思う気持ちはきっと皆同じです。依都さんも娘さんも、本当は歩み寄りたいのに意固地になっていたり、勇気が出なかったりして、前に進めずにいるんじゃないでしょうか。その本心を引き出すだけでも、依都さんが変わるきっかけになるかもしれません」

 家庭に何不自由なく育った俺も、やはり親子仲はいいに越したことはないと思う。花菱さんに同情する部分もあるし、どうせなら協力してあげたい。

 俺が話すのを黙って聞いていた花菱さんは、しばらくして《……あんたを頼ってみてもいいかい?》と、遠慮がちに返してくれたのだった。


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