ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 そう言われ、恋愛とも言えないくらいの、過去の淡い男性経験を振り返ってみる。

 一応これまでに付き合った経験もあるのだが、身体を重ねるという行為に抵抗があってうまくいかず別れてしまった。その原因は自分でもわかっていて、もしかしたらもう誰とも付き合わないほうがいいのかも……とまで思っていた。

 そんな自分が、余計な不安を感じないくらい、御鏡さんとは一緒にいたいと思えたのだ。理性より本能が勝るような、どうしようもなく惹かれてしまう感覚を覚えた人は初めて。

 彼に触れたいし、触れられたい。心も身体も。そんな風に思える人と、そうそう巡り会えないことくらいはわかる。

「……うん。諦めたくはない」

 雫と目を合わせてしっかり答えると、彼女は安心したように口元を緩めた。

「じゃあ、もう答えは出てるね。御鏡さんに会ってちゃんと話聞いて、気持ちを伝えるんだよ。人と人って、結局それでわかり合っていくものなんだからさ」

 時々達観したようなことを言う雫には、はっとさせられる。今も優しく背中を押された気分で、こくりと頷いた。

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