Crazy for you


「孝ちゃん!」
大好きな名前を呼ぶと呼ばれたその人は私を見ていつもの柔らかく優しい微笑みを浮かべた。
「香帆」
「お待たせ」
「全然待ってないよ。香帆には早く会いたかったけどね」
「ふふ、私も」
あれから孝ちゃんは私に甘い言葉をたくさんかけてくれるようになった。
自然と手が伸びてきて、絡まる指。

今日は学校帰りに孝ちゃんと待ち合わせしてデートなのだ。
デートといっても公園とかをぶらぶら歩いて帰るだけなのだけど。

「今日友達に彼氏出来たって伝えたの」
「俺もサークルのヤツらにいったよ」
「どんな反応だった?」
周りの反応がどんなものかは気になってしまう。
「写真見せてってうるさかったけど、全部無視した。香帆がへるし」
「へらないよ」
孝ちゃんが笑いもせずそんなことをいうので、私は苦笑してしまう。
「香帆はなんかいわれたの?」
「ぜんぜん驚かれなかった。孝ちゃん、バスケ部の人達に牽制してたってほんと?」
ちらと上目遣いで孝ちゃんをみると、「本当」とあっさり認める。
「香帆に近づけさせないようにするの大変なんだからな。今もだれか近寄ってきてないか心配だよ」
「私、そんなにモテないよ」
孝ちゃんの中の私のイメージが実際の三割増しくらいな気がする。
「わかってないな香帆は」
「えー私は孝ちゃんがモテモテなほうが心配だよ」
「俺の心には香帆しかいないから大丈夫」
「そんなの私だって孝ちゃんしかいないよ」
そうして二人で目を見合せて笑った。

「ひとつきいていい?」
「うん」
「孝ちゃんは、いつから私のこと想ってくれてたの?」
「……物心ついたときから、ずっと香帆は特別だよ。香帆だけいつも輝いてる」
恥ずかしげもなくなんてキザなことをいうんだろう。
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