アンハッピー・ウエディング〜後編〜
「盛り上がるのは勝手だが、俺は女モノの仮装衣装なんて着る気はないからな」

着たい奴が勝手に着てくれよ。俺は知らない。

スカートを履くなんて、人生で二度と御免だ。

「分かった分かった。じゃあここは公平に…くじ引きで決めようぜ」

雛堂。俺の話聞いてた?

着る気はないって言っただろ。

「手っ取り早く、あみだくじだな。無月院の姉さんも良いよな?」

「うん、良いよー。くじ引きで仮装…楽しそうだね、悠理君」

何処が?

俺に同意を求めるなよ。

「じゃあ、あみだくじを作って…。4本線を引いて…。…っと。よし、レディファーストってことで、無月院の姉さんからどうぞ」

「うーんとね。…一番左かな」

「一番左な。じゃあ自分は一番右にしよっと」

俺は了承した覚えなんてないのに、勝手に話が進んでいってしまっている。

意味が分からない。

「よし、じゃあ残りは真珠兄さんと悠理兄さんな。どっちにする?」

「僕はどっちでも良いですけど」

おい、乙無。あんたまで何で乗り気なんだよ。

そこは止めてくれよ。例え止めて止まってくれる奴らじゃないにしても。

「乙無、あんた分かってるのか?くじ引きでハズレを引いたら、スカート履いて女装しなきゃいけなくなるんだぞ…!?」

「それがどうかしました?生きることや死ぬことに比べれば、些末なことです」

あんたの器の大きさに感服だよ。俺は。

そんな達観したように言われてしまうと…俺としては、もう何も言えない。

「どうする?悠理兄さんが選ばないなら、こっちで勝手に決めるぞ?」

「悠理君、早く早くー」

急かすな。

…分かったよ。諦めろってことな?

このメンツでハロウィンパーティーなんて開催してしまった、俺が愚かだったのだと思おう。

「…じゃあ、俺は左で」

「それなら、僕は右ですね」

せめて、自分の運命くらいは自分で決めるよ。

それに、まだ女装させられると決まった訳じゃない。

ミイラ男かドラキュラである可能性も、まだ残ってるじゃないか。

確率的には二分の一。

諦めるには、まだ早、

「じゃあ、早速開封…。おっ、悠理兄さんは赤ずきんだってよ」

…最速で、フラグを回収。

やっぱり逃げられませんでした。本当にありがとうございました。
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