アンハッピー・ウエディング〜後編〜
「…いずれにしても」

と、乙無が話をまとめるように切り出した。

「よくよく考えて、結論を出さなきゃいけないようですね。…悠理さんも、寿々花さんも」

「…俺が何を決めるって言うんだよ。選ぶのは寿々花さんだろ?」

俺には関係ない。…関係ない、はずだ。

行くも行かないも、全部寿々花さんが自分の意志で決めることであって…。

「自分には関係ない、とか思ってるでしょう。あなた」

ぎくっ…。

「だ、だって…関係ないだろ?実際…」

「本当にそう思ってるなら、あなたに思い悩む権利はありませんよ。黙って送り出せば良いんじゃないですか?」

…何だよ、それ。

俺に何をしろって言うんだ。

新しい一歩を踏み出そうとしている寿々花さんの背中に追い縋って、その歩みを止めさせるのが正しいと?

「後悔しない選択を…と言いたいところですが、頭の足りない生き物ですからね、人間は。右を選べば左を選べば良かったと後悔し、左を選べば右を選べば良かったと後悔する。両方選べば、今度は選ばなければ良かったと後悔する」

「…じゃあ、どうすれば良いんだ?」

「どれを選んでも後悔するなら、せめて自分に嘘はつかないことです」

…自分に…嘘…。

…ついてるのだろうか。俺は、今。

「自分の付いた嘘に後悔するより、自分の選択に後悔する方がずっとマシ。そうじゃないですか?」

「…」

乙無の言う通り。それは分かるのだけど。

でも、だからってそう簡単に決められることではなかった。
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