妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】
 傍から見たら、とてもおかしな光景だと思うし、正直この二人の事が恐くなる。

 やっぱりこの二人相手にまともな話し合いは無理だと感じ、そう判断したのは百瀬くんも同じだったようで、

「感情的になられているなら、きちんとした話し合いは望めそうにありませんね。まあもうこちらとしては亜夢の伝えた事が用件の全てですし、今後一切貴女方と関わり合いになりたくないというのがこちらの願いです。そして、俺の方からも最後に一つ、言わせてください――」

 そう前置きした後、

「亜夢は今日、正式に荒木田家の人間になりました。ですから今後亜夢に何かすれば、それは荒木田家を敵に回す事になりますので、それを踏まえた上で、言動には充分お気をつけ下さい」

 笑顔を浮かべてそう吐き捨てた百瀬くん。

 これにはつい今しがたまで強気の発言を繰り返していた母も大人しくなり、

「や、やあねぇ、そんな脅しみたいな事言うなんて。ちょっと、色々と驚いて取り乱しただけじゃない……」

 苦笑いを浮かべ、視線を泳がせながら椅子に座り直していた。

 そんな中ずっと一人ブツブツ呟いていた有紗は俯いたまま立ち上がり、

「……お母さん、私、今すごく気分が悪いから帰りたいの」

 表情を見せないまま、呟くように母に訴えかける。

「あ、あら、それは大変だわ! それじゃあ急いで帰りましょうね!」

 有紗のその言葉が助け舟のように思えたらしい母は心配する素振りをしながら有紗の肩を抱くと、こちらに作り笑顔を浮かべ、

「それじゃあ、私たちはこれで。亜夢、さっきは色々と言ってしまったけど、私は貴方と縁を切るなんて嫌よ。だって、可愛い娘ですもの。もう一度、よく考え直してね、お願いよ」

 なんて汐らしい事を言い残して部屋を出て行った。

 そんな母の言葉はさて置き、気分が悪いとずっと下を向いたままだった有紗は去り際、私と百瀬くんへ視線を向けたと思えば何かを企むような笑みを浮かべていて、それに言い知れぬ恐怖を覚えた私の背筋は凍りついていた。
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