妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】
「有紗、落ち着いて……」
精神が不安定な有紗は言葉通り、自暴自棄になって本当に自身を傷付けるつもりかもしれない。
それは流石にまずいと私は有紗を落ち着かせる為に言葉を掛け、百瀬くんは彼女を刺激しないよう警備員たちに目配せをすると、中にいる警備にも伝わったのか、ホールから外が見えないように窓にはカーテンが降ろされていく。
今この場にいる警備員は二人だけ。
他の人は先程の不審者を警戒して塀の外に行っているから。
「話、ちゃんと聞くから、ね? だから、落ち着こう?」
「何よ今更! アンタのそういう余裕そうなところが嫌いなのよ! 大切な物奪ってもいつもすぐに諦めた顔してさぁ、何なの? ムカつかない訳? もっと怒ればいいじゃない! やり返してくればいいじゃない!」
有紗はかなり興奮しているようで、落ち着いて話をするのが無理そう。
百瀬くんによって有紗から再び距離を取った警備の人たちは万が一に備えて動ける位置には居るものの、それを警戒している有紗は変わらずカッターの刃を自身に向けている。
とにかく今は有紗からカッターを遠ざけなければと私はもう一度有紗に声を掛ける。
「お願い有紗、刃物は危ないから、その場に捨てて。落ち着いて、きちんと話し合おう?」
「そうだよ、こんな事したって、何にもならないだろ?」
私に乗じて百瀬くんも言葉を掛けてくれたのだけど、
「うるさいうるさいうるさい!! 心配してるフリしてるだけじゃない! 本当は私になんか居なくなって欲しいって思ってるくせに! 人生上手くいったからって調子に乗らないでよ!」
何を言っても有紗を刺激するだけのようで、半ばお手上げ状態。
そして、
「……私に死んで欲しくないなら、お姉ちゃん、こっちに来てよ」
何故だか有紗は私に傍へ来るよう口にした。
これには流石に警戒してしまい、すぐには頷けない。
「ほら、やっぱり口ばっかり。死んで欲しいんでしょ? それじゃあ、お望み通り、アンタたちの目の前で死んでやる!!」
いつまでも答えを出さない私に痺れを切らせた有紗が「死ぬ」と言いながらカッターを手にした右手を振り上げた、その瞬間――私の隣に居た百瀬くんがすかさず有紗の方へ駆け寄り、
「きゃっ!? 離して!!」
振り下ろそうとしていた右手首を両手で掴んでいた。
「百瀬くん!」
「離せ!!」
「おい、落ち着けって!」
「うるさい! 離せって言ってんのよ!!」
私や警備の人たちが二人に駆け寄ろうとした次の瞬間、掴まれていなかった左手で力の限り百瀬くんを押し退けた有紗は彼が一瞬手の力を緩めた隙をついて逃れようと腕を動かしていたその時、
「――ッつ……」
「百瀬くん!!」
カッターの刃が百瀬くんの右手の甲から右腕に当たり、切れた傷口からはみるみるうちに血が滲んでいった。
精神が不安定な有紗は言葉通り、自暴自棄になって本当に自身を傷付けるつもりかもしれない。
それは流石にまずいと私は有紗を落ち着かせる為に言葉を掛け、百瀬くんは彼女を刺激しないよう警備員たちに目配せをすると、中にいる警備にも伝わったのか、ホールから外が見えないように窓にはカーテンが降ろされていく。
今この場にいる警備員は二人だけ。
他の人は先程の不審者を警戒して塀の外に行っているから。
「話、ちゃんと聞くから、ね? だから、落ち着こう?」
「何よ今更! アンタのそういう余裕そうなところが嫌いなのよ! 大切な物奪ってもいつもすぐに諦めた顔してさぁ、何なの? ムカつかない訳? もっと怒ればいいじゃない! やり返してくればいいじゃない!」
有紗はかなり興奮しているようで、落ち着いて話をするのが無理そう。
百瀬くんによって有紗から再び距離を取った警備の人たちは万が一に備えて動ける位置には居るものの、それを警戒している有紗は変わらずカッターの刃を自身に向けている。
とにかく今は有紗からカッターを遠ざけなければと私はもう一度有紗に声を掛ける。
「お願い有紗、刃物は危ないから、その場に捨てて。落ち着いて、きちんと話し合おう?」
「そうだよ、こんな事したって、何にもならないだろ?」
私に乗じて百瀬くんも言葉を掛けてくれたのだけど、
「うるさいうるさいうるさい!! 心配してるフリしてるだけじゃない! 本当は私になんか居なくなって欲しいって思ってるくせに! 人生上手くいったからって調子に乗らないでよ!」
何を言っても有紗を刺激するだけのようで、半ばお手上げ状態。
そして、
「……私に死んで欲しくないなら、お姉ちゃん、こっちに来てよ」
何故だか有紗は私に傍へ来るよう口にした。
これには流石に警戒してしまい、すぐには頷けない。
「ほら、やっぱり口ばっかり。死んで欲しいんでしょ? それじゃあ、お望み通り、アンタたちの目の前で死んでやる!!」
いつまでも答えを出さない私に痺れを切らせた有紗が「死ぬ」と言いながらカッターを手にした右手を振り上げた、その瞬間――私の隣に居た百瀬くんがすかさず有紗の方へ駆け寄り、
「きゃっ!? 離して!!」
振り下ろそうとしていた右手首を両手で掴んでいた。
「百瀬くん!」
「離せ!!」
「おい、落ち着けって!」
「うるさい! 離せって言ってんのよ!!」
私や警備の人たちが二人に駆け寄ろうとした次の瞬間、掴まれていなかった左手で力の限り百瀬くんを押し退けた有紗は彼が一瞬手の力を緩めた隙をついて逃れようと腕を動かしていたその時、
「――ッつ……」
「百瀬くん!!」
カッターの刃が百瀬くんの右手の甲から右腕に当たり、切れた傷口からはみるみるうちに血が滲んでいった。