妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】
「亜夢!」
「……百瀬、くん……」

 私の名前を呼びながら百瀬くんが駆け寄って来ると、そのまま強い力で抱き締められた。

「百瀬くん、腕……!」
「平気だよ、警備員に止血して貰ったし、そこまで深い傷でも無いから」
「そ、そっか……良かった……っ」

 百瀬くんに抱き締められ、彼の怪我がそこまで酷いものでは無いと分かった瞬間、今になって色々な事が怖くなった私の全身が震え出す。

「亜夢、何で俺の制止聞かなかったの? 刺せなんて言うし、俺、あの時本当、心臓止まるかと思ったんだよ?」
「……ごめん、百瀬くんが傷付けられて、血が流れ出るのを見たら、居ても立ってもいられなくて……頭に血がのぼって……何とかしなきゃって、必死で……」
「もう二度と、あんな事しないでよ……本当に……」
「……うん、ごめんね……」

 私たちは抱き合い、互いの無事を改めて確かめ合っていると、

「離せっ! 離して!!」

 警備員に取り押さえられた有紗が再び騒いでいた。

「亜夢?」
「ごめん、ちょっと……」

 百瀬くんから離れて有紗の元へ向かった私は、二人がかりで抑えられても尚暴れ続ける有紗の前に立つと、パシンッと乾いた音を立てて、彼女の頬を平手打ちした。

 そんな私の行動に驚いたのか、大人しくなった有紗が私の方へ顔を向けてきて目が合った、その瞬間、「いい加減にしなさい!」と怒鳴り声を上げながら睨みつけた。

「な、に……するのよ……っ!」
「今の痛かったでしょ?」
「痛いに決まってるでしょ!」
「そうよね、痛いわよね。でもね、さっき傷付けられた百瀬くんはそれ以上に痛かったわ」
「あ、れは……わざとじゃ……」
「例え本気で刺すつもりも傷付けるつもりも無かったにしても、刃物を振り回せば誰かしらには当たって傷付けてた。そんなの、子供でも分かるよ?」
「…………」
「有紗、貴方いつまでこんな事を続けるの? 死ぬまで私に固執し続けて、こんな風に騒ぎを起こし続けるつもりなの?」
「…………」

 私の問い掛けには答えず、黙ったままの有紗。

 それでも、私は言葉を続けていく。
< 144 / 171 >

この作品をシェア

pagetop