一日限りの恋人のはずが予期せぬ愛にくるまれました
「今度はうちの植物園に行こう。数十年に一度咲くという花が咲きそうなんだ」
返答に迷って小手鞠さんを見ると、彼は笑顔で私の手をとった。骨ばっていて、だけど優しいその感触。
「来週月曜日にしよう。いいね?」
「はい」
思わず頷いてしまった。
明日なんてこなければいいのに。
そしたら、この手を離さなくてすむのに。
小手鞠さんは微笑をたたえたまま、私を見ている。
私は悲しい気持ちで微笑を返した。
水曜日、病院に行った私は医者に「オメガですね」と告げられて愕然とした。
「言った通りだろ」
小手鞠さんは勝ち誇った。
「変化したばかりで不安定です。いつヒートが起きてもおかしくないので、毎日薬を飲んでください」
薬を処方された。
今日は簡易検査だったので、詳細な結果は1週間後と言われた。
小手鞠さんはそのまま私とデートに行こうとしたが、唐突に現れた森下さんに「仕事です」とひきずられていった。
私は呆然と家に帰った。
会社にオメガになったと報告しなくては。周りからはなんて言われるだろう。
不安しかなかった。
木曜日、悄然と出社すると、鮫島さんと辻谷さんは出社してなかった。
「ニュース見た?」
そう言う同僚は興奮していた。
「鮫島さんよ。ナイトクルーズの船に忍び込んで、アルファの前でフェロモン使ったんだって」
慌ててスマホを取り出して検索する。
フェロモンを発した女性が海に飛び込み、船員が救助、と書かれたニュースがあった。
「それそれ。名前出てないけど、本人がヒットコッターに上げてたのよ。海に飛び込んでなんとか助かった、ぴえん、て」
「本人は否定してるけど「あの女がフェロモンを使うのを見た」って目撃者が出ちゃって。それで炎上して、今日休みだって」
別の同僚が話に混ざって来た。
この二人、前は私を鮫島さんの召使だなんだと話していた。
「そこまでしてアルファと結婚したいものかなあ。あさましくて迷惑」
巻き込まれた本人が目の前にいるとも知らずに、彼女らは批判を繰り広げる。
「ねえ、そう思うでしょ?」
話し掛けられた男性の同僚が、気まずそうに頷いた。
返答に迷って小手鞠さんを見ると、彼は笑顔で私の手をとった。骨ばっていて、だけど優しいその感触。
「来週月曜日にしよう。いいね?」
「はい」
思わず頷いてしまった。
明日なんてこなければいいのに。
そしたら、この手を離さなくてすむのに。
小手鞠さんは微笑をたたえたまま、私を見ている。
私は悲しい気持ちで微笑を返した。
水曜日、病院に行った私は医者に「オメガですね」と告げられて愕然とした。
「言った通りだろ」
小手鞠さんは勝ち誇った。
「変化したばかりで不安定です。いつヒートが起きてもおかしくないので、毎日薬を飲んでください」
薬を処方された。
今日は簡易検査だったので、詳細な結果は1週間後と言われた。
小手鞠さんはそのまま私とデートに行こうとしたが、唐突に現れた森下さんに「仕事です」とひきずられていった。
私は呆然と家に帰った。
会社にオメガになったと報告しなくては。周りからはなんて言われるだろう。
不安しかなかった。
木曜日、悄然と出社すると、鮫島さんと辻谷さんは出社してなかった。
「ニュース見た?」
そう言う同僚は興奮していた。
「鮫島さんよ。ナイトクルーズの船に忍び込んで、アルファの前でフェロモン使ったんだって」
慌ててスマホを取り出して検索する。
フェロモンを発した女性が海に飛び込み、船員が救助、と書かれたニュースがあった。
「それそれ。名前出てないけど、本人がヒットコッターに上げてたのよ。海に飛び込んでなんとか助かった、ぴえん、て」
「本人は否定してるけど「あの女がフェロモンを使うのを見た」って目撃者が出ちゃって。それで炎上して、今日休みだって」
別の同僚が話に混ざって来た。
この二人、前は私を鮫島さんの召使だなんだと話していた。
「そこまでしてアルファと結婚したいものかなあ。あさましくて迷惑」
巻き込まれた本人が目の前にいるとも知らずに、彼女らは批判を繰り広げる。
「ねえ、そう思うでしょ?」
話し掛けられた男性の同僚が、気まずそうに頷いた。