一日限りの恋人のはずが予期せぬ愛にくるまれました
まるで木だった。細長く高く、六メートルはありそうだ。葉は根本だけに存在し、放射状にこんもりと繁っている。葉の先端は尖っていてトゲがある。その形から竜舌蘭と呼ばれるという。
真っ直ぐに伸びた幹からいくつかの枝が広がり、先端に花の塊がついている。ぱっと見は花を咲かせたブロッコリーのようだった。実際には緑の長細い房が集まり、黄色い筒状の花がついているのだ。
説明を読むと、私が幹と思った部分は花茎と呼ぶようだった。
青空の下に真っ直ぐ伸びるそれは誠実にも見え、ダイナミックで凛としていた。
胡蝶蘭のようなものを想像していたから、ギャプがすごかった。
「昔は100年に一度しか咲かないと思われていたから、センチュリープラントとも呼ばれる。咲いたらあとは子株ができて枯れてしまうんだ」
「なんだか淋しい……」
「そうかな。何十年も待って一度だけの花を咲かせてその使命を終える。潔い気もするけど」
ずっと緑だけを茂らせて、風雨に耐え、数十年に一度、急に茎をのばして花を咲かせる。一途に子孫を残すそのために生きて、散る。その年月を思い、切なくなった。
「それになんだか、運命的じゃないか。数十年に一度の花に巡り会えるなんて」
「確かにうれしいです。思ってたのとは違いましたけど」
「俺は君に出会えたことにも運命を感じている」
小手鞠さんが真面目な顔で言うので、どきっとした。
「結婚してほしい」
小手鞠さんの顔は真剣だった。
「でも会ったばかりですし」
「関係ない」
小手鞠さんの勢いに押される。思わずあとずさると、私の手を小手鞠さんがつかんだ。心臓がまたどきっと跳ねた。
「わからないのか? オメガになったばかりだからか? 君は俺の運命だ」
正直なところ、よくわからない。
オメガと言われたのも最近のことだ。
最初はショックだったけど女性であることには変わりはないし、今のところ実感はわかない。
「そういうの、好きでもない人に言うのは良くないです」
言ってしまった。
私はうつむく。
これで全てが終わりを告げる。
真っ直ぐに伸びた幹からいくつかの枝が広がり、先端に花の塊がついている。ぱっと見は花を咲かせたブロッコリーのようだった。実際には緑の長細い房が集まり、黄色い筒状の花がついているのだ。
説明を読むと、私が幹と思った部分は花茎と呼ぶようだった。
青空の下に真っ直ぐ伸びるそれは誠実にも見え、ダイナミックで凛としていた。
胡蝶蘭のようなものを想像していたから、ギャプがすごかった。
「昔は100年に一度しか咲かないと思われていたから、センチュリープラントとも呼ばれる。咲いたらあとは子株ができて枯れてしまうんだ」
「なんだか淋しい……」
「そうかな。何十年も待って一度だけの花を咲かせてその使命を終える。潔い気もするけど」
ずっと緑だけを茂らせて、風雨に耐え、数十年に一度、急に茎をのばして花を咲かせる。一途に子孫を残すそのために生きて、散る。その年月を思い、切なくなった。
「それになんだか、運命的じゃないか。数十年に一度の花に巡り会えるなんて」
「確かにうれしいです。思ってたのとは違いましたけど」
「俺は君に出会えたことにも運命を感じている」
小手鞠さんが真面目な顔で言うので、どきっとした。
「結婚してほしい」
小手鞠さんの顔は真剣だった。
「でも会ったばかりですし」
「関係ない」
小手鞠さんの勢いに押される。思わずあとずさると、私の手を小手鞠さんがつかんだ。心臓がまたどきっと跳ねた。
「わからないのか? オメガになったばかりだからか? 君は俺の運命だ」
正直なところ、よくわからない。
オメガと言われたのも最近のことだ。
最初はショックだったけど女性であることには変わりはないし、今のところ実感はわかない。
「そういうの、好きでもない人に言うのは良くないです」
言ってしまった。
私はうつむく。
これで全てが終わりを告げる。