愛しい吐息 ~凛々しい婚約者は彼女を溺甘で支配的な愛にとろけさせる~
また雅が息をついた。
嫌われてしまう、と花純はびくびくする。
「今から婚姻届けを出しに行こう」
予想外の言葉に、花純は驚く。
「その後は予定通り遊園地に行く。いいね」
「今からなんて」
「大丈夫だから」
強気の雅に言われて、しおしおと萎れて着いていく。
せっかくのデートなのに、服を着替える気力もなかった。
雅の自慢の車に乗り、役所に行く。
ヨーロピアンなデザインのコンバーチブルだ。屋根をオープンにしていた。フロントが長く、フェンダーは大きく盛り上がっている。全長が長いのに二人乗りだ。真っ赤なボディが人目を引く。
初めて見たとき、驚いた花純に雅はうれしそうだった。
「光ケ岡自動車の車だ。いいだろう? 限定で、なかなか手に入らないんだ。特注でマニュアルにしてある。ミヅチと迷ったし、外車もカッコイイし、シザーズドアのあれも欲しかったけど、やっぱり国産車が好きでさ。名前も日本の最初の女王の名前だったからなおさら良くてさ、私も一応女なわけだし」
ぺらぺらと車について語り出し、ついていけなかった。
あとで調べてみたら、けっこうとんでもない金額だった。オプションで合計いくらになっているやら。
あなたのせいで、雅は好きな車も自由に買えない。
紫苑が言った言葉が蘇る。
彼の放った棘が、遅効性の毒のように花純を侵していた。
時間外窓口で、白髪の守衛に声をかける。
小さな窓をがらっと開けた彼に、雅は婚姻届けを出しにきた、と告げた。
はい、と守衛が答えると、雅は手に持っていた封筒から記入済みの届を出す。
花純は黙ってそれを見守っていたが、心臓は早鐘を打っていた。
本当にいいのだろうか。
結婚は離婚をすることもできるけれど、戸籍に残ってしまう。
記憶の中の紫苑が告げる。
雅にふさわしいのは僕だから。
僕は運命の番だから。
嫌われてしまう、と花純はびくびくする。
「今から婚姻届けを出しに行こう」
予想外の言葉に、花純は驚く。
「その後は予定通り遊園地に行く。いいね」
「今からなんて」
「大丈夫だから」
強気の雅に言われて、しおしおと萎れて着いていく。
せっかくのデートなのに、服を着替える気力もなかった。
雅の自慢の車に乗り、役所に行く。
ヨーロピアンなデザインのコンバーチブルだ。屋根をオープンにしていた。フロントが長く、フェンダーは大きく盛り上がっている。全長が長いのに二人乗りだ。真っ赤なボディが人目を引く。
初めて見たとき、驚いた花純に雅はうれしそうだった。
「光ケ岡自動車の車だ。いいだろう? 限定で、なかなか手に入らないんだ。特注でマニュアルにしてある。ミヅチと迷ったし、外車もカッコイイし、シザーズドアのあれも欲しかったけど、やっぱり国産車が好きでさ。名前も日本の最初の女王の名前だったからなおさら良くてさ、私も一応女なわけだし」
ぺらぺらと車について語り出し、ついていけなかった。
あとで調べてみたら、けっこうとんでもない金額だった。オプションで合計いくらになっているやら。
あなたのせいで、雅は好きな車も自由に買えない。
紫苑が言った言葉が蘇る。
彼の放った棘が、遅効性の毒のように花純を侵していた。
時間外窓口で、白髪の守衛に声をかける。
小さな窓をがらっと開けた彼に、雅は婚姻届けを出しにきた、と告げた。
はい、と守衛が答えると、雅は手に持っていた封筒から記入済みの届を出す。
花純は黙ってそれを見守っていたが、心臓は早鐘を打っていた。
本当にいいのだろうか。
結婚は離婚をすることもできるけれど、戸籍に残ってしまう。
記憶の中の紫苑が告げる。
雅にふさわしいのは僕だから。
僕は運命の番だから。