愛しい吐息 ~凛々しい婚約者は彼女を溺甘で支配的な愛にとろけさせる~
「自分がただのメスだってこと、わかったほうがいいよ」
 花純は抵抗を試みるが、全身に力がはいらない。
 そもそも男に力がかなうわけがない。
 それでも。
 花純は必死に力をこめる。
 おめおめといいようにされるわけにはいかない。
 私は雅のもので、こいつらのものじゃない。
 こいつらの目当ては雅を傷付けること。
 雅の婚約者がこんな目にあったと周囲に知られたら、雅がどんな目で見られるか。
 この男たちは必ず言いふらすだろう。
 あの女の婚約者を自分のものにしたぞ、と。
 狩猟で得た獲物を自慢するように、ふれまわるだろう。
 そのたびに雅は貶められるのだ。そんな横暴を許してはいけない。
 男の一人がカメラを向ける。ほかの男もスマホを花純に向ける。
「記念撮影してやるよ。あいつに見せたらどんな顔をするかなあ」
 オメガは人生を壊す。
 そうを言われたばかりだ。
 だが、本当に人生を壊そうとしているのは、こいつらじゃないか。
 花純は必死に抵抗する。が、水に手をつっこむかのように、力は逃げて行くばかりだ。
「こんなこと許されない!」
「合意なら許されるんだよ」
 男たちは笑う。
 花純が警察に届け出ても、合意だったと言い逃れる予定なのだろう。
「この店は僕の貸し切りだ。好きなだけ楽しむといいよ。店員も買収してあるから」
 紫苑は出て行こうとする。
 が、一人の男がそれを阻む。
「お前もだ」
 興奮状態の彼は、紫苑の腕をつかむ。
「やめろよ!」
 紫苑が暴れる。が、男の手はほどけない。
「オメガを楽しんでいいって言ったのはお前だろ」
「あの女だけだ!」
 引きずられるようにして長椅子に運ばれ、紫苑が押し倒される。
「やめてよ、僕は雅の子供を妊娠してるんだから!」
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