愛しい吐息 ~凛々しい婚約者は彼女を溺甘で支配的な愛にとろけさせる~
「でも、あなたがカスミソウを好きになってくれて良かった」
 それなら良かった、と雅は笑った。
「出会った記念の日を一緒に迎えたかった。ギリギリ間に合ってよかった」
 あれ、と花純は首をかしげた。それを見た雅も首をかしげる。
「12日で合っているだろう?」
「覚えてたんだ!」
 驚きの声を上げると、雅は複雑そうに眉根を寄せた。
「覚えてないと思ってたのか」
「だって、自分の誕生日も忘れているし、11日にこだわってたし」
 ふ、と雅は笑った。
「また早とちりか」
「あなたの説明不足よ」
 花純が口を尖らせると、雅は花純の隣に移動して唇を奪った。
「こんな時間だと景色は見えないな」
「でも、遊園地の灯りが綺麗だわ」
「あなたのそういうところが好きだ」
 雅はくすくすと笑った。
「愛してるよ、花純。あなたは私のものだが、私はあなたのものだ」
「私はあなただけのものよ。そして、あなたは私だけのものなのね」
 そうだよ、と雅は微笑んだ。
 観覧車はゆっくりと天頂へ近付き、0時に近付いて行く。
「一緒にカウントダウンしよう」
 二人はスマホで時間を見てカウントダウンをした。
「3、2、1」
 二人で声をそろえる。
「ゼロ!」
 0時になった瞬間。
 夜空に大輪の花が咲いた。
 少し遅れて大音量の爆発音が響いて、かごが揺れた。
 光り輝く色とりどりの花火。どん、どん、と明るく咲いて、夜空を照らし、二人を照らす。
「すごい」
 ガラスにへばりつくように、花火を見た。
 地上で見るよりも大きくて近くて、迫力があった。
 一分ほどの花火が終わると、ちょうど観覧車が天頂にたどりついた。
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