ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
「有紗、お見合い相手の名前、確認してくれない?」
「う、うん、わかった」
有紗も顔が真っ青になっている。私と悠斗君から離れて、急いで実家に電話する有紗。なにやら深刻そうに話し込んでいる。
しばらく待っていると、電話を終えた有紗が肩を落として消沈した顔を浮かべて帰ってきた。
「今日のお見合い相手、藤堂寺 貴富(とうどうじ たかとみ)さんらしい……」
有紗はとても言いにくそうに呟いた。
「うん、間違いなくうちの社長だね。てことで、私は帰らせていただきます」
お店を出ようとすると、強い力で勢いよく手を掴まれた。有紗は首を小さく横に振りながら、必死の形相で私を見つめた。
「有紗、さすがにこれは無理」
「相手が藤堂寺家なら、なおさらこのお見合いは白紙にできないの」
「じゃあ、なおさら身代わりなんてやめた方が……」
「ダメ! お願い芳実! 相手は社長でしょ⁉ 社長と話したことある⁉」
「ないけど……」
「じゃあ、大丈夫。一社員の顔なんて覚えているわけないし、それに今の芳実を見たら、知り合いでも芳実だって気付けないわ!」
「う、うん、わかった」
有紗も顔が真っ青になっている。私と悠斗君から離れて、急いで実家に電話する有紗。なにやら深刻そうに話し込んでいる。
しばらく待っていると、電話を終えた有紗が肩を落として消沈した顔を浮かべて帰ってきた。
「今日のお見合い相手、藤堂寺 貴富(とうどうじ たかとみ)さんらしい……」
有紗はとても言いにくそうに呟いた。
「うん、間違いなくうちの社長だね。てことで、私は帰らせていただきます」
お店を出ようとすると、強い力で勢いよく手を掴まれた。有紗は首を小さく横に振りながら、必死の形相で私を見つめた。
「有紗、さすがにこれは無理」
「相手が藤堂寺家なら、なおさらこのお見合いは白紙にできないの」
「じゃあ、なおさら身代わりなんてやめた方が……」
「ダメ! お願い芳実! 相手は社長でしょ⁉ 社長と話したことある⁉」
「ないけど……」
「じゃあ、大丈夫。一社員の顔なんて覚えているわけないし、それに今の芳実を見たら、知り合いでも芳実だって気付けないわ!」