ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
「ちょっと一回、閉めてもらっていいですか?」
「え?」
女将は不審そうな目で私を見ながらも、言われた通りに襖を閉めた。
襖がしっかり閉じたことを確認した私は、脱兎のごとく来た道を走りだした。
有紗と悠斗君が腕を組んで楽しそうに笑いながら、店を出ようとしている所を見つけて声を張り上げる。
「あ~り~さ~!」
突然後方から怒りの含んだ声で呼び止められた有紗は、驚いて振り返った。
「え⁉ 芳実? なんで?」
「なんでじゃないわよ! どういうことよ!」
「は? なに? なんで怒っているの?」
「なんでお見合い相手がうちの社長なのよ!」
「ええ⁉」
有紗は心から驚いた声を出した。演技をしているようにはまったく見えない。
「ちょっと待って。芳実の会社って製薬会社よね?」
「そう! その社長が座っていたの!」
「ええ、でも私、不動産関連の御曹司って聞いていたのに……」
不動産関連。たしかにうちの会社は、製薬会社だけれど、たしか親会社は不動産関連だった気が。そもそも親会社が大きすぎて、どの事業をやっているかまでは全て把握していない。
そして社長は、親会社の息子だ。
「え?」
女将は不審そうな目で私を見ながらも、言われた通りに襖を閉めた。
襖がしっかり閉じたことを確認した私は、脱兎のごとく来た道を走りだした。
有紗と悠斗君が腕を組んで楽しそうに笑いながら、店を出ようとしている所を見つけて声を張り上げる。
「あ~り~さ~!」
突然後方から怒りの含んだ声で呼び止められた有紗は、驚いて振り返った。
「え⁉ 芳実? なんで?」
「なんでじゃないわよ! どういうことよ!」
「は? なに? なんで怒っているの?」
「なんでお見合い相手がうちの社長なのよ!」
「ええ⁉」
有紗は心から驚いた声を出した。演技をしているようにはまったく見えない。
「ちょっと待って。芳実の会社って製薬会社よね?」
「そう! その社長が座っていたの!」
「ええ、でも私、不動産関連の御曹司って聞いていたのに……」
不動産関連。たしかにうちの会社は、製薬会社だけれど、たしか親会社は不動産関連だった気が。そもそも親会社が大きすぎて、どの事業をやっているかまでは全て把握していない。
そして社長は、親会社の息子だ。