ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
 社長は、私が想像するよりもずっと素直で不器用な人なのかもしれない。女慣れしていると思ったけれど、そうではないことがわかって、嬉しい気持ちもあった。

「どうして、私に会いたかったのですか?」

 私は社長の目を真っ直ぐに見て言った。

「それは、デートに誘いたかったから」

 社長は言葉尻を下げ、少し照れくさそうに言った。

「デート? これからですか?」

「いや、いつでもいい。田中さんのためなら、どんな重要な仕事があっても優先する。明日でもいいし、来週でもいいし、一ヵ月後でもいいし、仕事終わりの短い時間であっても構わない」

 社長の目つきは真剣で、魅惑的な色気も含んでいた。実直さの中に強引な男らしい魅力もある。

 そりゃ、私だって社長とデートしたい。でも……。

「今からお昼ご飯を食べに行くところなのです。良かったら、一緒にどうですか?」

「もちろん!」

 社長は大喜びで私についてきた。まるで尻尾を振ってついてくる大型犬のようだ。
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