ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
「何を食べる?」

「私は牛丼大盛りつゆだく一択です」

「ほう、じゃあ俺もそれで」

 タブレットメニューを社長から受け取り、メニューを選択して注文ボタンを押した。

「よくここに来るのか?」

「ええ、近いし安いので」

 社長と私は住む世界が違う。社長がよく行くお店に比べたら、テーブルも狭いし椅子も固いし、騒がしいだろう。

 きっと居心地が悪くて、私と一緒にいること自体、時間の無駄ということに気がつく。寂しいけれど、それでいい。これが、身分差というものだ。

 社長は配膳された牛丼を興味深げに見て、箸をつけた。

 社長の口には合わないだろうなと思いながら見ていると、社長が牛丼を一口食べて声を上げた。

「美味しいな、これ!」

 興奮しながら大きな声で言うので、周りの人たちが横目でこちらを見る。

(お、美味しいのか。そうだった、社長とは味覚の好みが似ているのだった)
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