ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
(いや、でも、社長と子どもをつくるって)

 想像しただけで顔が赤くなる。

(そんな、いきなり、しかも社長と結婚って)

 付き合ってもいないのに、いきなり結婚。さらには子作り。もう頭の中が混乱して錯乱状態だ。

「俺は田中さんと結婚したいし、ゆくゆくは子どもも欲しいと思っていた。問題はただ一つ、田中さんの気持ちだ。田中さんは俺のことをどう思っている?」

「どうって、それは、その……」

(昔からの憧れの存在です。なんなら、会社も社長に会いたくて死ぬほど努力して入社しました)

 なんて、言えるわけがない。

 重い、重すぎる。唖然とする社長の顔が目に浮かぶようだ。

「嫌いか?」

「まさか!」

 即座に否定する。嫌いどころか大好きです、と言ってしまいそうになるのを、必死で押しとどめる。

「良かった」

 社長は心からの安堵の声を漏らし、下を向きながら微笑んだ。
< 149 / 247 >

この作品をシェア

pagetop