身代わりお見合い婚〜社長に溺愛される365日〜
一生独り身なんだろうなと漠然と思っていたし、それに不都合を感じていなかった。それが一夜にして変わったのだから、人生とはなにがどう転ぶかわからない。

(貴富さんの方が圧倒的に料理上手いんだろうな)

 気は乗らないけれど、だからといって避けるわけにもいかない。

 下手だろうと頑張ろうと思う気持ちが大切だし、回数をこなさないと上手くもならない。

(できることからコツコツと!)

 自分を奮い立たせて朝食を作る。ご飯を炊いて、味噌汁を作る。味噌汁はぶっこみ系なので得意分野だ。感動するような美味しさは出せないが、不味くはならない。

 そしてベーコン入り目玉焼き。ちょっと形が崩れたけれど、味は悪くないはず。だって何も加えていないから、悪くなりようがない。仕上げにトマトとキュウリを添えて完成だ。

 頑張れば小学校高学年の女子でも作れる朝食。うん、これが限界。

 申し訳ない気分になりながらも食卓に並べていると、グットタイミングで貴富さんが起きてきた。
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