ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
「ああ……そうですよね。時間がないので電話番号でいいですか?」

 ラインは本名で登録してしまっているので教えられない。かといって、着物などをクリーニングに出してもらっているし、服も借りているのでもう一度会わなければいけない。

 互いの電話番号を急いで交換し終えると、ちょうどタクシーが来た。

 社長がタクシーの運転手にお金を渡しているのが見えたので、慌てて「大丈夫です!」と言うと、「そうはいかない」ときっぱり言われてしまった。

 なにからなにまでお世話になってしまって本当に申し訳ない。

「それじゃあ、また」とはにかむような挨拶だけしてタクシーは出発した。

怒涛の一日だった。でも気を抜くことはできない。今日は始まったばかりなのだから。



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