ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
 あの夜のことなんて忘れてしまえばいい。

 結論はついたはずなのに、胸のもやもやは取れないし、余計に苦しくなった。

 その結論は嫌だと胸の奥で私が叫んでいる。でも、これが最善策だ。大きな失敗を犯したのは私だから、その責任は自分で取らなければいけない。

(そう、これが最善策)

 意図せず、目から涙が零れ落ちた。

(なに泣いているの⁉ バッカじゃないの⁉)

 計測を終わらせて、クリーンルームを出る。こんな状態じゃ、仕事に集中できない。

 ちょっと早いけれど、昼食に行こう。クリーンウェアを脱いで社食へと向かう。

 社食が提供されているレストランは本部ビルにある。

 高さは五階建てだけれど、横幅が長い。広大な敷地にでんと聳え立つ姿は圧巻だ。

受付ロビーを通って、奥にあるレストランに向かって歩いていると、前の方からビジネススーツを着た取り巻きのような方たちが、中心にいる人物を護衛するように歩いていた。

(なんだろう)

気にせず歩いていこうとして、中心にいる人物の顔が見えて足が止まった。
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