ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
(待って、あれって社長じゃない⁉)

 慌てて隠れる場所を探し、自動販売機が置かれてあるドアのない小さなコーナースペースへと逃げ込んだ。

 心臓が途端に激しく鳴り始める。つい数時間前まで一緒だった人がいる。

(どうして今日に限ってこっちにいるの⁉)

 社長は複数の会社を掛け持ちしている。経営で忙しいので、会社で会うことはほとんどない。

 それに私はほとんどの時間を研究室で過ごしているから、本部ビルにいる時間は少ないし、社長はうちの会社に来たとしても最上階で仕事していることがほとんどなので、いつ来ているのかさえわからない。

 入社当時は社長に会いたくて、無駄に本部ビルを徘徊してみることもあったけれど、偶然出くわすことさえなかった。

 入社してから早数年。社長の姿を見られたのは片手で数えられる程度である。それも遠くからその他大勢に混ざっての謁見だ。

 それがなぜ一番会いたくないタイミングで過去一近い状況で会えることになったのか。


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