ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
ちなみに社長との一夜のことは有紗には告げていない。怖くて言えない、言えるわけがない。

「化粧の仕方もわからないし、なにを着ていったらいいかもわからないの!」

「はあ? どこに行くの?」

「高級そうな鉄板焼きのお店」

「ああ、目の前で神戸牛とかシャトーブリアンとか焼いてくれるところね」

「う~ん、よくわからないけど、たぶんそんなかんじ!」

 有紗は行き慣れているのか、すぐにお店の雰囲気がわかったらしい。私は正直、さっぱりわからない。

「化粧して行きたいわけ? 誰と?」

 有紗の目が鋭く光る。

「えっと、会社の人と……」

 ギリギリ嘘はついていない。会社の人だ。

「ふ~ん、何人で?」

「二人……」

「ほ~、男?」

「……まあ」

 目が泳ぎまくる。返答を聞いた有紗は口の端を上げて微笑んだ。

「それは一大事だ」
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