ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
(いや、流されすぎだろ、私)

 社長に注いでもらって、次は私が社長に注ぎ、乾杯してから日本酒を口にする。

(いや、美味しいけども)

 なにをやっているのだろう、私は、という気持ちが拭えないまま、だんだんと本格的に酔っぱらっていく。

 そして、社長の目も瞼が少し落ちてきて、だんだんと甘い雰囲気に包まれていく。

「本当に、有紗さんは可愛い」

 社長は隣に座っていた私の頬を撫で、色気を含んだ瞳で見つめた。

「あ、ありがとうございます」

 例えお世辞でも嬉しいものだ。

「お店の前で有紗さんを見たとき、あまりの美しさに一瞬息が詰まったよ」

「それは言い過ぎです」

「いいや、通りすがりの男性たちの目をくぎ付けにしていたほど、有紗さんの美しさは群を抜いていた」

「それを言うなら社長だって」

私が反論しようとすると、社長は私の唇に人差し指を押しつけて制した。

「社長呼びはおかしい。貴富と」

「た、貴富さん」
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