ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
 恥ずかしがりながらも下の名前で呼んだ私に、社長は満足気な笑みを浮かべた。

「あなたは、俺が出会った女性の中で誰よりも美しい」

 驚いて言葉を失っている私に、社長はゆっくりと顔を近付けてきた。

(だめ、だめよ、芳美、流されちゃ、だめ……)

 わかっているのに、キスを受け入れてしまった。

 この唇の感触を身体は覚えていた。

 そっと触れた唇が離れると、社長は切ないような眼差しで私をじっと見つめる。また、いつでも唇が触れられる距離感で社長は囁く。

「会いたかった。離れていたこの数日間が拷問のようだった」

 社長は私との距離をどんどん縮めていく。

「わた……しも……」

 なんてことを口走っているのだろうと思うけれども、理性とは裏腹に勝手に言葉が出てしまっているのだ。

 社長は嬉しそうに口角を上げ、そして再び唇をふさぐ。

 今度は触れるだけのキスではない。互いを求め合うような絡みつくキスだ。

 静かな部屋にリップ音が鳴り響き、だんだんと激しさが増していく。

「寝室に行こう」

< 61 / 247 >

この作品をシェア

pagetop