難攻不落の女
「笹目くんから鈍感だって言われた」
 急に新井がむせるほど笑い出した。

「もしここにスピリタスがあったら、新井くんに盛ってるからね。なんでそう言うか、意味はわかるよね?」
 アルコール度数九十六パーセントのウォッカで脅したが、堪えてはいないようだ。

「向こうも、会社の外で無理矢理会わないと、どうにもなれないって分かって、友人でカモフラージュしながら来てるんだ。ありえないと決めつけないで、話くらい聞いてやれば。俺たちだって、これまで歳を理由に相手にされない環境が嫌で、変えてきた人間なんだから」

「うまいこと言ったつもりかもしれないけど、仕事は仕事だから。それより、友だちはカモフラージュなの?」
 宇美は額に手を当てた。新井は人の気も知らないで、笑っている。友人たちは元々酒に興味があり、かしこまらずに気軽に色々な種類が楽しめる場所に行ってみたいという希望があったようだ。

 話を聞き、密に連携を取った上での今日だったようだ。新井が自分からの誘いを断られないことを知っていて、こんな計画を立てたのかと思うと、腹立たしさを超えて感心するばかりだった。

「宇美と合うと思うけどな、彼は。いくつになっても、恋は悪いもんじゃないよ」
「私、新井くんと恋愛の話なんてする日がくると思わなかったわ」
 喉の奥にマッカランを流し込み、宇美は息を吐いた。
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