難攻不落の女
■3

 アイリッシュバーを出ると、新井は笹目が連れてきた友人二人を連れて、人混みの中に消えていった。次は日本酒のバーに行くらしい。
 次の行き先が決まらずに、宇美と笹目はまだビルの入り口に立ったままだった。

「大丈夫? 座った方が良いならどこか入る? 駅の近くに大きいカフェあるけど」
 すぐれない顔色に気づいて宇美が訊ねると、笹目は首を振った。どこか行くにしてもオープンな場所が良いだろう。相手にとって逃げ場のある環境を考えるが、ぱっと思い浮かばずに彼の発言を待つ。

 だが黙ったままだった。まさか鈍感という発言をしてしまったことを、未だに引きずっているのだろうか。

「言葉一つ間違えたくらいで、こいつは絶対にだめだ、なんて思わないから」
「本当ですか」

「これでも長いこと、人と向き合う仕事してきているからね」
 暴言を吐かれながらも、笹目を励ましてしまうのは、職業病かもしれない。

「とりあえず行こうか、ここに立っていても邪魔になるから」
 落ち込む背中を押し、駅の方に向かって歩き出した。

「休みの日は何をしてるんですか」
 笹目は横に並んで、しどろもどろになりながら訊いてきた。
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