難攻不落の女
 ページをめくるが、印刷機の情報がどこにもない。映画のタイトルと共に、気に入っている理由が書かれている。一体なんだ、これは。

「僕が宇美さんを好きだって、納得させられる理由がないといけないと思いました。そもそも強くて賢い、かっこいい系のヒロインが出てくる映画が好きで」
 そのあとに解説を始めたが、右から左に流れていき、何を言っているのか理解が追いつかなかった。

「なんなの、これ」
「プレゼン資料です、僕についての」

 呆気にとられていると、
「やっぱりもう少し考えさせてもらえませんか、時間を超える方法を」
 お願いします、と笹目は頭を下げた。

「いやいや、だから」
 それは付き合うことはないと伝えるための、便宜的な言葉だ。
「歳が離れているほうが、宇美さんにとってはメリットが多いと思います。仕事でもメリットがあります。次のページにまとめたんですけど」
「ほう?」

 収入のピークのずれによる、経済的な安定について、介護問題について、また世代の違いを深く理解することが、仕事にどう役立つかなど書かれている。思いつく限りを書き連ねたという感じで的外れなものもあるが、真剣さは伝わってくる。プレゼンには、良さのアピールだけではなく、熱意が重要だ。そういう意味では悪くない。
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