難攻不落の女
「わたしさっき、笹目さんと一緒に考えてたんですけれど、気になってるのに相手にしないとか、もったいないですよ」
「気になるって何が」
「今朝『笹目くん来たらあげといて』って、私にお菓子を渡していきましたよね。しかも、宇美さんのお気に入りのフィナンシェ。アソートをもらうといつも、絶対に食べちゃうのに」
「たまたまそこにあったからだよ」
人をよく見るようにと部下たちに伝えてはいるが、こちらまで観察されているとは思いもしなかった。
「一回くらいチャンスあげたっていいじゃないですか。宇美さんに挑もうとする猛者、うちの会社にいなかったんですから。それだけでも、笹目くんはこれまでどこにもいなかった最高の男に変化する可能性が」
「少女漫画の読み過ぎ」
紙の束でぽんと膝のあたりをたたき、白熱していく論理に終止符をうつ。心配げなまなざしを残しながら自席に戻っていく社員の姿を見送った。
笹目に向き直り、宇美はテーブルの上で指を組んだ。
「正直なところ、何を言われてもまったく実感がない。私の何を知っていて、そう言うのかもわからない。寄ってくる男は全員、金目当てだと思っていたからね」
「気になるって何が」
「今朝『笹目くん来たらあげといて』って、私にお菓子を渡していきましたよね。しかも、宇美さんのお気に入りのフィナンシェ。アソートをもらうといつも、絶対に食べちゃうのに」
「たまたまそこにあったからだよ」
人をよく見るようにと部下たちに伝えてはいるが、こちらまで観察されているとは思いもしなかった。
「一回くらいチャンスあげたっていいじゃないですか。宇美さんに挑もうとする猛者、うちの会社にいなかったんですから。それだけでも、笹目くんはこれまでどこにもいなかった最高の男に変化する可能性が」
「少女漫画の読み過ぎ」
紙の束でぽんと膝のあたりをたたき、白熱していく論理に終止符をうつ。心配げなまなざしを残しながら自席に戻っていく社員の姿を見送った。
笹目に向き直り、宇美はテーブルの上で指を組んだ。
「正直なところ、何を言われてもまったく実感がない。私の何を知っていて、そう言うのかもわからない。寄ってくる男は全員、金目当てだと思っていたからね」