偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
 平均的な身長だがほっそり華奢でスタイルがよく見える。彼女は響一にとって好感が持
てる容姿をしていた。

 性格は落ちついていて穏やか。察しがよく響一がひとりになりたいときは、必要以上に声をかけずそっとしておいてくれる。

 それは一般的には特別なことではないのかもしれないが、響一はやたらと声をかけられるタイプだ。

 無関係の女性が馴れ馴れしく近づき、高い熱量で迫って来るという状況を何度も経験しうんざりしていたため、花穂の一歩引いた態度は好ましかった。

 それだけではなく読書の趣味が合った。

 彼女は自分から余計な話はしないが、響一が話しかけると快く応じる。
 本の感想も響一と感性があった。話している内に彼女の好みの傾向が分かった。
 本人は意識していないようだが、気に入る本は家族愛や誰かとの絆をテーマにしたものだった。

 人に対して一定の距離を取る一方で、繋がりを求めているところがある。

 世間話をしているうちに、落ち着きがあると思った彼女に意外に可愛いところがあるこ
とを知った。

 この頃には花穂に対して特別な感情を持っていることを自覚していた。

 残念ながら彼女は響一に恋愛感情を持っていないようだが――。
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