偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
　この何もかも受け入れるというかのようなあまりに寛大な態度は、花穂が歓迎されていると言うよりもとにかく響一の妻を望んでいたからのように感じる。

「花穂さんはカフェで働いていると聞いているが、結婚後も続けるのかな？」

　しばらくすると、祖父が思い出したように問いかけて来た。

「はい。いずれは自分の店を出したいと考えています」

　六条家後継者の妻としては相応しくないと思われるかもしれないが、譲れないところなので正直に告げた。

「それは楽しみだな。開店に関しては六条家が全面的にバックアップするから何も心配しなくていいからな」

　特に反対される様子はなくほっとした。

「そうだ、先日よい土地を手に入れたんだった。よかったらそこで……」

　反対どころか盛り上がる祖父に、響一が呆れたような溜息を吐く。

「会長、カフェの開業に関しては口出ししないでください」

「口うるさくなるのは、お前が頼りないからだろう」

「それは否定しませんが、手助けは望まれたときまで待ってください。彼女の意志を大切にしたいので」


　きっぱりと言い切った響一の言葉に感じるものがあったのか、祖父は反論せずに言葉を飲み込んだようだった。
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