桜ふたたび 後編
「千世……なにかあった?」
「だから、さっきから言うてるやん。いわゆるストライキってやつよ。嫁として正当な権利を主張してやろうと思うて。
それより、電話で言うてた〝サロン〞? それ、見学とか体験入学とかさせてもらえへんの?」
「え? あ、ごめん、それは無理だと思う」
「なんや、残念やなぁ。うちもフィニッシングスクールに通いたかったのに。田舎では夢のまた夢やしなぁ。
ええなぁ、澪は。セレブの一員で」
「フィニッシングスクールに通ったからって、セレブになれるわけじゃないよ。わたしなんか、ちっとも変わんないし」
「そんなことあらへんって」
千世は澪の顔を覗き込んで、
「そういえば、なんやお顔立ちもお上品にならはりましたわよ、マダ〜ム」
「やめてぇ」
「冗談、冗談! 相変わらず脳天気な顔してるわ。
そやけど──あんた、変に完璧主義やさかい、満点採らなあかんって気張りすぎてぇへん? もっと気楽にな、〈一般ピープルにはできひん経験ができて、超ラッキー♪〉くらいに思うておいたらええんよ」
──そっか……。
ちょっと気持ちが軽くなったのに、
「プリンスも、あんたにそこまで期待してはらへんって」