桜ふたたび 後編
❀ ❀ ❀
六本木のダイニングバーからニューハーフのショーパブにつき合わされ、まだまだ遊ぶ気満々の千世を引き摺って帰宅した頃には、もう深夜を回っていた。
「はあ~、広いお風呂はほんまええなぁ。うちもジャグジーにしてもらおっかなぁ」
千世は、さっぱりした顔で冷蔵庫から缶ビールを取りだすと、カウチに足を伸ばして寛いだ。
澪は難しい顔でソファに腰を降ろし、しばらく千世を見つめていたが、やがて大きく肩で息を吸い込むと、決心したように切り出した。
「千世」
喉を鳴らしてビールを呑んでいた千世は、缶を持った手で口元を拭い、チラリと澪に目をやった。
「なんよ、辛気臭い顔して」
「武田さんから……電話があったよ」
千世のまつ毛が一瞬ぴくりと揺れた。
すぐに無関心を装って、テーブルのポーチに手を伸ばす。
「ふ~ん。よう澪の番号がわかったな。あ、あいつ、うちの手帳、盗み見したんやな?」
言いながら、紫のマニキュアを取り出し、ペティキュアを塗りはじめる。
「明日、何時に出る? 早起きはちょっと辛いなぁ」
「千世」
「そやけど、早よ出んと混むやろか?」
「千世ってば」
「あ~もう、鬱陶しい!」
千世は逆ギレして、澪の顔も見ずに言った。
「ええやん。うちかてたまには一人になりたいときもあるて」
六本木のダイニングバーからニューハーフのショーパブにつき合わされ、まだまだ遊ぶ気満々の千世を引き摺って帰宅した頃には、もう深夜を回っていた。
「はあ~、広いお風呂はほんまええなぁ。うちもジャグジーにしてもらおっかなぁ」
千世は、さっぱりした顔で冷蔵庫から缶ビールを取りだすと、カウチに足を伸ばして寛いだ。
澪は難しい顔でソファに腰を降ろし、しばらく千世を見つめていたが、やがて大きく肩で息を吸い込むと、決心したように切り出した。
「千世」
喉を鳴らしてビールを呑んでいた千世は、缶を持った手で口元を拭い、チラリと澪に目をやった。
「なんよ、辛気臭い顔して」
「武田さんから……電話があったよ」
千世のまつ毛が一瞬ぴくりと揺れた。
すぐに無関心を装って、テーブルのポーチに手を伸ばす。
「ふ~ん。よう澪の番号がわかったな。あ、あいつ、うちの手帳、盗み見したんやな?」
言いながら、紫のマニキュアを取り出し、ペティキュアを塗りはじめる。
「明日、何時に出る? 早起きはちょっと辛いなぁ」
「千世」
「そやけど、早よ出んと混むやろか?」
「千世ってば」
「あ~もう、鬱陶しい!」
千世は逆ギレして、澪の顔も見ずに言った。
「ええやん。うちかてたまには一人になりたいときもあるて」