桜ふたたび 後編
❀ ❀ ❀


新居に唯一置かれたキングサイズベッドが、薄明かりのなかで微かな軋みを立てている。

「澪、このまま挿れるよ?」

「ぅん……」

眉間に皺を寄せ、白い喉を反らせた澪は、にわかに瞼を見開いた。

「ま、ま、待って!」

ジェイは恨めしげな目で、逃れようとする澪を見下ろした。
最悪のタイミングで中断して、申し訳ないとは思う。でも……。

「あ、あの、でも、やっぱり……」

ジェイは面倒くさそうに、落ちた前髪をかき上げた。
それから澪の頭を両手で挟むと、額をくっつけ、瞳の奥を覗き込むように言う。

「私は、すぐにでも子どもが欲しいんだけどな」

「コドモ……?」

一瞬で、澪は凍りついた。
< 14 / 270 >

この作品をシェア

pagetop