桜ふたたび 後編

初めて彼に逢ったとき、澪は彼の魂の寂しさを直感していた。
求めても、求めても、どこにも魂の置き場が見つからない旅人のようだと思った。

だから、彼の〝愛〞は、孤独を埋めるためのエゴだと思った。
それに気づきながら、彼の欠けた心のピースになろうとする澪の〝愛〞も、エゴだと思った。

今も、愛の本質はわからない。
けれど、きっと、ここに〝愛〞はある。 

──ジェイ、わたしはここにいます。

安らかな寝顔を見つめていると、愛しさと幸福感で、切なくなるほど胸がいっぱいになる。
あたたかい涙がつっとこぼれて、ジェイの頬に静かに落ちた。

ゆっくりと、アースアイの光が現れた。
そこに、暗い孤独感はない。
ただ、子どものように不安げに瞳を揺らす彼がいた。

「なぜ、泣いているんだ?」

「幸せだから」

ジェイは、澪の頭を引き寄せ、そっと胸に抱く。

「安心してください。わたしはいつでも、ここであなたの帰りを待っています」

澪の言葉に、ジェイは安堵したように頷いた。

「必ず帰るよ」

ジェイはリングにキスをして、そして──跳ね起きた。
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