桜ふたたび 後編
「ジェラシーなんて……贅沢だって、わかってるんです。ジェイは男だし、若いし、健康だし、誰の所有物でもないんだって……。頭では理解しているのに……でも、ココロがダメなんです」
澪は一糸纏わぬまま正座すると、顔を赤らめ、それでも真摯に瞳を見つめ、震える声で言葉を紡ぐ。
「愛がここにあれば、カラダは誰のものでもいいなんて、どうしても割り切れない。だって……あなたのココロもカラダも、全部、愛してるんだもの。
あなたの声も、視線も、匂いも、肌の温もりも、誰にも分けてあげたくない。──わたしだけのものにしたいんです」
瞼に溜まった涙が、一粒、音もなく落ちた。
ジェイは、放心した。自分でも呆れるほど、澪のまっすぐな言葉に感動していた。
そう、いつも何か物足りなかったのは、彼女に欲心がないからだ。
愛し合っているのに、愛を自分の掌中に独占しようとしない。
いつかは終焉がくると達観しているようで、もどかしかった。
ジェイは、そっと澪の唇に人差し指を押し当てた。
「嬉しいよ。そんなに上手にジェラシーを告白してくれて」
そして、澪の指に嵌められたリングにそっとキスをして、低く誓った。
「愛してる。私の心も体も、澪だけのものだ。この命が尽きるまで。神に誓う」