桜ふたたび 後編
❀ ❀ ❀
〖やっぱり、眠っているみたいです〗
病室は静まりかえっている。
照明をつけたとたん、キアラは目を剥いた。
〖──いない!〗
室内は白一色、隠れられる物入れどころか、引き出しさえない。
〖トイレ、じゃないですか……?〗
あくびをしそうなアイラを押しのけて、キアラは勢いよくトイレのドアを開ける。
〖逃がしたわね〗
とんでもないと、アイラはぶんぶん首を振った。
特別室のドアは、カードキーがなければ内側からでも開かない。
窓ははめ殺しで、面格子までついている。
ドアを振り返ったキアラは、はっとした。
取っ手に手をかけ、力を加える。
動くはずのないドアが──静かにスライドした。
キアラは膝を着いて、どんな些細な異変も見逃すまいと、目と手で慎重に探った。
ドア枠のかみ合わせ部分に、光るものがある。
引き出して見ると、ダイヤモンドのペンダントトップだった。
きっと、ナースの隙を盗んで小細工をしたのだ。
睡眠薬などと油断させ、監視の目を緩めさせた。
この町の人間は、警察の必要もないほどのんきだから、日頃からオートロックを確認するナースなど、一人もいないのだ。
『くそ!』
キアラは髪を逆立てるように膨らませて、病室を飛び出した。
〖やっぱり、眠っているみたいです〗
病室は静まりかえっている。
照明をつけたとたん、キアラは目を剥いた。
〖──いない!〗
室内は白一色、隠れられる物入れどころか、引き出しさえない。
〖トイレ、じゃないですか……?〗
あくびをしそうなアイラを押しのけて、キアラは勢いよくトイレのドアを開ける。
〖逃がしたわね〗
とんでもないと、アイラはぶんぶん首を振った。
特別室のドアは、カードキーがなければ内側からでも開かない。
窓ははめ殺しで、面格子までついている。
ドアを振り返ったキアラは、はっとした。
取っ手に手をかけ、力を加える。
動くはずのないドアが──静かにスライドした。
キアラは膝を着いて、どんな些細な異変も見逃すまいと、目と手で慎重に探った。
ドア枠のかみ合わせ部分に、光るものがある。
引き出して見ると、ダイヤモンドのペンダントトップだった。
きっと、ナースの隙を盗んで小細工をしたのだ。
睡眠薬などと油断させ、監視の目を緩めさせた。
この町の人間は、警察の必要もないほどのんきだから、日頃からオートロックを確認するナースなど、一人もいないのだ。
『くそ!』
キアラは髪を逆立てるように膨らませて、病室を飛び出した。