再縁恋~冷徹御曹司の執愛~

8.暴かれた秘密

……温かい。


頬に触れる大きな手の感触と温もりに、心が安らぐ。


「……もっと」


「大丈夫、ここにいる」


低く、甘やかすような声になぜか泣きたくなった。


「希和」


名前を呼ばれ、フッと意識が戻る。

重い瞼をゆっくりと持ち上げると、端正な容貌の男性が私の目を覗き込んでいた。


「……起きたか?」


「惺、さん?」


発した声は信じられないくらいに掠れていた。

ぽんと頭を撫でられ、眉尻を下げた彼が口を開く。


「悪い、無理させた」


耳に届いた言葉にハッとする。


そうだ……私! 


羞恥と混乱でどうしてよいかわからず、うろうろと視線を泳がせてしまう。


あの後、何度抱かれただろう? 


消滅できなかった恋心を抱いたまま、巧みな愛撫にただ翻弄され続けていた。


「風呂には入れたが……体、大丈夫か?」


ベッドに横たわる私を緩く抱え込んだまま尋ねてくる。

前半の部分は聞かなかったことにしたい、切実に。

なにより覚えていない自分が情けない。

気まずさを誤魔化すためブラインドに視線を向けて、血の気が引いた。

明るく差し込んでいた光は消え、隙間からは藍色に染まる空がちらほら見える。


待って、今、何時?
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