再縁恋~冷徹御曹司の執愛~
いつも通り仕事を終えた金曜日、私は親友を待っていた。

入籍の報告をしたところ、直接祝いたいので会いに行くと言われ、悟己と三人で夕食を食べに行く約束をしていた。

惺さんは仕事で帰宅が遅くなるため、親友との外食をぜひと勧めてくれた。


「希和、お待たせ!」


仕事帰りの杏実が愛車で店まで迎えに来てくれた。

今夜はまだ店に残るという春香さんに見送られ、ふたりで保育園に向かう。

今日はいつもの送迎はお断りしていた。


「迎えに来てもらったうえ、保育園まで付き合ってもらってごめんね」


「遠慮は不要よ。車を停めてくるから先に向かっていて」


てきぱきと指示し、親友は保育園にほど近い場所で私を降ろす。

杏実の車を見送り、踵を返した途端、眼前にいた人に腕がわずかにぶつかった。


「きゃあっ!」


「す、すみません、大丈夫ですか?」


当たった衝撃は微かなものだったのに、道に女性がうずくまっていた。

慌てて屈みこんで女性の顔を覗き込んだ瞬間、体が凍りついた。


「こんにちは、武居さん。いえ、嵯峨さんかしら?」


「……樋浦さん、どうしてここに……」


「私を不幸に陥れた尻軽女に罰を与えに来たのよ!」


叫びながら、素早く私の腕を掴む。

長い爪が内側の柔らかな皮膚に食いこんで痛いが、強い力で握られて、振りほどけない。
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