飛べない小鳥は見知らぬ運命の愛に震える
琴鳥はしびれる手を伸ばした。
アルファがいる。アルファだ。
それしか考えられなかった。
女性がバッグから薬を取りだした。
「ヒートを抑える頓服薬です。飲んで」
震える手で受け取り、女性に支えられ、飲んだ。
「すぐに警察が来ます。証言をお願いします」
声が遠くなった。
頭がくらくらして、そのまま気を失った。
意識を取り戻したとき、部屋には女性警官がいて、体にはシーツをかけられていた。
琴鳥に薬を飲ませた女性はずっと彼女につきそっていてくれた。
女性は弁護士事務所に勤めるパラリーガルの新川万希と名乗った。
「目つきの悪い男がいたでしょう。あの人あれでも弁護士なんですよ」
「弁護士……」
とてもそうは思えなかった。ぼさぼさの頭にくたびれたスーツ。
いつも鋭く睨んできて怖かった。
琴鳥は女性警官からの事情聴取を受けた。
わからないままに聞かれたことに答えたあと、女性警官は言った。
「あなたは誘発剤を盛られて部屋に連れ込まれたのですよ。通報があって、警察が来ました」
「そんな……」
にわかには信じられなかった。
だが、腑に落ちるところがあった。
急に体が熱くなって、何も考えられなくなった。異常だった。いつものヒートと何かが違っていた。
最近は美鷹といると軽いヒートが起きたが、それに比べても不自然さを感じていた。
部屋にはもう美鷹はおらず、メガネの男もいなかった。
愛しあっていた、と思っていた。
それは幻想だったのか。
優しさも微笑も、何もかも。
コレクションに加えてあげよう。
得意げな美鷹の声が頭に蘇る。
琴鳥は静かに涙をこぼした。
「お疲れでしょう。帰って休んでください。詳しくはまた後日に」
万希は自宅までタクシーで送ってくれた。
疲れ果てていた琴鳥は、帰ってすぐ、泥のように眠った。
アルファがいる。アルファだ。
それしか考えられなかった。
女性がバッグから薬を取りだした。
「ヒートを抑える頓服薬です。飲んで」
震える手で受け取り、女性に支えられ、飲んだ。
「すぐに警察が来ます。証言をお願いします」
声が遠くなった。
頭がくらくらして、そのまま気を失った。
意識を取り戻したとき、部屋には女性警官がいて、体にはシーツをかけられていた。
琴鳥に薬を飲ませた女性はずっと彼女につきそっていてくれた。
女性は弁護士事務所に勤めるパラリーガルの新川万希と名乗った。
「目つきの悪い男がいたでしょう。あの人あれでも弁護士なんですよ」
「弁護士……」
とてもそうは思えなかった。ぼさぼさの頭にくたびれたスーツ。
いつも鋭く睨んできて怖かった。
琴鳥は女性警官からの事情聴取を受けた。
わからないままに聞かれたことに答えたあと、女性警官は言った。
「あなたは誘発剤を盛られて部屋に連れ込まれたのですよ。通報があって、警察が来ました」
「そんな……」
にわかには信じられなかった。
だが、腑に落ちるところがあった。
急に体が熱くなって、何も考えられなくなった。異常だった。いつものヒートと何かが違っていた。
最近は美鷹といると軽いヒートが起きたが、それに比べても不自然さを感じていた。
部屋にはもう美鷹はおらず、メガネの男もいなかった。
愛しあっていた、と思っていた。
それは幻想だったのか。
優しさも微笑も、何もかも。
コレクションに加えてあげよう。
得意げな美鷹の声が頭に蘇る。
琴鳥は静かに涙をこぼした。
「お疲れでしょう。帰って休んでください。詳しくはまた後日に」
万希は自宅までタクシーで送ってくれた。
疲れ果てていた琴鳥は、帰ってすぐ、泥のように眠った。