新人洗濯係がのぞいた秘め事~王太子の秘密を暴いた先にあるのは溺愛か死か~
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王宮に行く機会は、思いのほか早くやってきた。
また人手がないから手伝いがほしいと言われたのだ。
リエーヌは真っ先に手を上げた。
アデリーンは苦笑して、じゃあお願いね、と言った。
また数人で王宮に向かう。
30分の道のりがやけに長く感じられた。早く早く、と気が急いて仕方がなかった。
「リエーヌったらなんでそんな急いでるの?」
同僚が驚き半分、からかい半分で言う。
「い、急いでなんか」
「やっぱりこの前、素敵な人に会ったの?」
「あれからため息ばっかりだもんね」
からかわれて、顔が赤くなった。
「図星ね」
「誰かしら」
「うまくいくといいわね」
王宮まで、リエーヌは話のタネにされてしまった。