新人洗濯係がのぞいた秘め事~王太子の秘密を暴いた先にあるのは溺愛か死か~
「そうなの。ざんねーん」
「私、昨日ユリック様を見たわ。素敵だった!」
別の同僚が言う。ユリックの名に、リエーヌはどきっとした。
「氷の貴公子様よね」
「いつも冷たくって。その微笑までクールで!」
「王太子様が結婚しちゃったから、今は貴族令嬢がこぞって狙ってるんだって」
「23歳だっけ。もう結婚しててもおかしくないのに」
「冷たいのに優しくて、そのギャップがいいんだって! 誰にも心を開かず、縁談はすべて断ってるって」
「だから氷の貴公子なんじゃん。彼の心を射止めるのはどんな令嬢かしら」
「そんな有名な人なんだ……」
同僚は、知らないの、と驚いた。
「来たばっかりですから」
「そっか。見て損はないわよ。素敵なんだから!」
「その人って、ユリック・エル・ローニャックっていいますか?」
「なんだ、知ってるんじゃん」
「知ってるのは名前だけです」
昨日会ったとは言えなかった。
それに、印象が違った。彼女が会ったユリックは優しく微笑していたから。
会いたい。
また会うことになる気がする、と彼は言っていた。
だが、普段は王宮になど用事はない。
もう二度と会うことなんてないだろう。
リエーヌは何度目かわからないため息をついた。
「私、昨日ユリック様を見たわ。素敵だった!」
別の同僚が言う。ユリックの名に、リエーヌはどきっとした。
「氷の貴公子様よね」
「いつも冷たくって。その微笑までクールで!」
「王太子様が結婚しちゃったから、今は貴族令嬢がこぞって狙ってるんだって」
「23歳だっけ。もう結婚しててもおかしくないのに」
「冷たいのに優しくて、そのギャップがいいんだって! 誰にも心を開かず、縁談はすべて断ってるって」
「だから氷の貴公子なんじゃん。彼の心を射止めるのはどんな令嬢かしら」
「そんな有名な人なんだ……」
同僚は、知らないの、と驚いた。
「来たばっかりですから」
「そっか。見て損はないわよ。素敵なんだから!」
「その人って、ユリック・エル・ローニャックっていいますか?」
「なんだ、知ってるんじゃん」
「知ってるのは名前だけです」
昨日会ったとは言えなかった。
それに、印象が違った。彼女が会ったユリックは優しく微笑していたから。
会いたい。
また会うことになる気がする、と彼は言っていた。
だが、普段は王宮になど用事はない。
もう二度と会うことなんてないだろう。
リエーヌは何度目かわからないため息をついた。