溶けたラムネ入りの炭酸ジュースは、美味しくない。
控室で軽くご飯を食べて、彼女の匂いなんて、欠片も残っていない部屋を出て、自宅に帰ることにした。

この日は一度帰宅してシャワーを浴びてから学校に行く日で、急いで帰宅しなければならない。

朝6時にシフトを交代するのに、なぜ早く帰るのかと言うと
まだ課題が終わってないからだ。むしろそれ以外に何があるというのか。

なぜ終わってないのか、過去の自分を恨むのは当然のことだが、恨んでもしょうがないことは、一応頭ではわかっている。一応な。

さすがの留年生ですね?と突っ込みたいところだが、一年の科目が取れておらず、必須科目のため、そんな余裕は無い。

余裕持って取り組んだはずが、ゆっくりしてると結局終わらなくて、家からホームまで走って電車に乗り、ぎりぎりまで走って教室の手前の角でとまり息を整える。

それがいつものルーティン。


だが、今日は先約がいた。

なんだか見覚えのある黄色のカーディガン。

「あの」

僕が声をかけると驚いたように振り返る。


「ふぇっ!?だれ!?ってさっきコンビニにいたお兄さん!?
ここの大学だったんですか?でもここ1年の…」

そう、ここは一年生の授業。
この大学は、2科目までなら単位を落としても学年が上がれる。

だが卒業には必須科目が取れないことには卒業できない。


「よし、とにかく授業が始まる前に中に入らないと、ここの先生は厳しいから、今日の単位落とす前に、入ろうか」

23歳。遅刻癖。
急いだというのに、また単位もらえず落としてしまう。

「先輩、ですよね?その雰囲気は」


「そうだよ。いいから入ろう」
< 10 / 32 >

この作品をシェア

pagetop