溶けたラムネ入りの炭酸ジュースは、美味しくない。
僕たちは一階にある交流スペースに移動した。
学習スペースとして使う人もいるが、カフェが前にあるので、そこで持ち込んだコーヒーなどを飲む人もいる。
僕たちが今、まさに、飲み物を頼んで向い合せで座っている。
胡桃はメロンソーダ、僕はブラックコーヒー。
「私のこと介護してくれた先輩だからこそ、私のこと言おうかと思って、空きがあるか聞いたんです」
「それはなんで?他に友達は」
「私、この学校に友達いないんです。
これだけ明るいからいると思ったでしょ?」
たしかにいてもおかしくないとは思った。
「まぁ…、僕もこの学校に友達なんていないけどな」
「じゃあ一緒ですね、っていうか、私達は友達になれますよ!ともだちです!こんなに話してるんだもん」
と、
「まぁ、知り合いではあるな」
そんなあと言わんばかりの驚いた顔を見せた胡桃。
「えぇー、友達って思ってくれないんですか」
「お互いを知らなさ過ぎる」
「それはそうですね。じゃあ、一つ教えてあげます、私は去年この大学に入ってすぐ、休学していました。その理由は?」
「質問じゃねえか。んーと、単位取れなくて諦めたとか?」
「そんなんじゃないですよ、先輩じゃないんですから」
「なんでバレたんだよ」
「それぐらいわかります」
そんなことくらいと手首をパタパタと2回振った。
「バレたか…」
「正解は、親が離婚して環境が変わったんです」
「共感する話ではないと思うが、僕の親も離婚してる」
「一緒…ですね、佐々木ってお父さんの名字なんですよ、胡桃は、お母さんがつけてくれた名前なんです。もういないんですけどね」
そう言いながら少し目がうるうるとしていた胡桃は、目頭をそっと抑えた。
「胡桃の話、ちょっと重かったですか?」
「いやそんなこと無いけど」