王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
「まだ時間もあるみたいだし、ちょっと庭でも歩いてくるわ」

「それは構いませんが、旦那様と庭師を手伝ったりしないでくださいね。ドレスで木登りとか、絶対にいけませんよ。破れたら大変ですから」

「うん、わかっているわ」

 庭では、父と庭師、それからほかの使用人たちが庭の木々に飾りつけをしているのだ。もう小さな子供ではないのに、リボンや人形でとてもかわいく飾り付けてくれる。

 エイミーは庭に向けてぽてぽてと歩きながら、大きな深呼吸を一つした。

(今日で、最後――)

 シンシアに言われて、エイミーは今日までずっと考えてきた。
 そして決めたのだ。

 ――今日、ライオネルにお別れを告げる、と。

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