王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
 ライオネルが来たからか、残りの招待客の出迎えは侯爵夫妻のみで行うと言って、エイミーはダイニングについてきた。

「十七歳おめでとう」

 ダイニングに入って、ライオネルがそう言って花束とプレゼントを手渡すと、エイミーは嬉しそうに笑ってそれを受け取った。

 ……なんだか、エイミーの笑顔を久しぶりに見た気がする。

「ありがとうございます、殿下。この薔薇、すごくいい匂い」

「ああそれは、城で新しく品種改良された薔薇なんだ。品名は――って、これはまだ内緒らしいからまた今度教えてやる」

 新しく品種改良されたこの薔薇はまだ市場には出していない。市場に出すタイミングは王妃である母が決めるらしいので、この薔薇につけられた名前も公に口に出してはいけないのだ。

「プレゼントもありがとうございます」

「ああ。……開けないのか?」

 去年までのエイミーなら、ライオネルがプレゼントを渡した直後にリボンを解いていた。しかし今日のエイミーは、プレゼントの包みを持ったままでリボンをほどく気配がない。

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