冷徹御曹司かと思っていたら溺愛御曹司でした〜甘い束縛にとらわれて
いつも下ろしている髪を、今日は、後ろに流した髪型で、ご尊顔はとても魅力的で、色気が漏れている。
(あー、尊い)
かれこれ10分以上、間近で彼のご尊顔を拝めている砂羽を、この男も、砂羽の兄越しに砂羽を見ていたとは、砂羽は気がつかない。
それは、背中に刺さる鋭い視線に気がそれていたからだ。
兄だって気がついているのだろう。
それでも、後ろを振り向かないのだ。
そんな兄にじれて砂羽はチラリと後ろ振り返る。
見たことのある濃い顔の金髪の外国人が、すごい形相で近寄ってきた。
(怖い、怖いってば)
思わず兄の腕に抱きついてしまう。
すると、目の前の男も険しく目を凄ませる。
(なに?この人もお兄ちゃんが好きなの?)
自分の男運の無さに悲しくなる砂羽だった。
「和希」
流暢な日本語で兄の名を呼ぶ外国人。
兄は、今、気がついたというように振り返る。
「ジェシー、きてたんだね」
平静を装っているが、繋ぐ手に力が入るので、兄なりに緊張しているようだ。
「そのちんちくりんな胸だけの女は、なんだ?」
ほんとオブラートに包むということを知らないのかと、イラッときて睨みつけ(日本語を勉強し直せ)と、毒ついておく。